経営事項審査（経審）とは？メリットと申請のチェックポイント

2025年12月3日 2025年12月3日行政書士古川俊輔

行政書士古川俊輔

建設業許可を持つ事業者が、国や地方公共団体などが発注する「公共工事」の入札に参加するためには、建設業法の規定に基づき「経営事項審査」（経審）を必ず受ける必要があります。
経審は、企業の実力や財務状況、技術力などを客観的に評価する制度であり、その結果は「完成工事高」や「技術者数」など、企業のあらゆる側面が数値化されます。
この記事では、経審の目的、受審するメリット、そして高評価を得るために知っておくべきチェックポイントを解説します。

1. 経営事項審査（経審）とは？受審するメリット

経審の目的

経審は、「建設業者としての格付け（ランク付け）」を行うための基礎データを提供するものです。審査結果に基づいて、各発注機関（国、都道府県、市町村など）が独自の基準で入札参加資格を決定します。
経審の評価結果は、最終的に「総合評定値（P点）」という形で点数化されます。このP点が高ければ高いほど、より大規模な公共工事の入札に参加できるチャンスが広がります。

経審を受ける2つのメリット

公共工事への参入資格を得る： 経審を受けなければ、原則として公共工事の入札には参加できません。事業拡大のチャンスを広げる最大のメリットです。
企業の客観的な信用力を証明できる： P点は、「技術力」「財務の健全性」「施工実績」が公的に認められた証です。金融機関や民間取引先に対しても、企業の高い信用力を示すことができます。

2. 経審の評価項目と高評価のポイント

経審の評価は、大きく分けて以下の4つの要素から構成されます。

評価項目	略称	主な評価対象	高評価を得るポイント
経営規模	X	完成工事高、自己資本額、平均利益額など企業の規模	完成工事高を伸ばす（特に元請工事）。
経営状況	Y	自己資本、利益額、流動比率などの財務の健全性	自己資本を増やし、流動比率を改善するなど、財務体質の強化が必須。
技術力	Z	技術職員数、保有する国家資格、元請完成工事高	1級資格や、上位の資格を持つ技術者を継続的かつ安定的に雇用する。
その他の審査項目	W	労働環境（社会保険加入状況）、建設機械保有、ISO認証など企業の社会性・信用性	社会保険に確実に加入する（未加入は大幅減点）。退職金制度や研修制度を整備する。

重要度の高い項目：

完成工事高（X）と技術職員数（Z）は、P点に大きく影響します。特に公共工事参入を目指す場合、一級資格者の確保と施工実績（完成工事高）の積み上げが不可欠です。

3. 経審申請前のチェックポイント

経審の申請は、決算変更届（事業年度終了報告）の提出が完了していることが前提となります。以下のチェックポイントを事前にクリアしておく必要があります。

チェックポイント①：過去の決算変更届の提出状況

必須: 経審の評価期間（直前3期分または5期分）に対応する決算変更届がすべて行政庁に提出済みでなければ、経審申請はできません。

チェックポイント②：社会保険の加入状況

必須: 役員・従業員全員について、社会保険（健康保険・厚生年金）および雇用保険に加入している必要があります。未加入は大きな減点対象となるため、必ず事前に適正な手続きを完了させてください。

チェックポイント③：技術職員の適正な証明

技術職員として評価対象とするには、その社員が適切な資格を持ち、かつ社会保険に加入していることが条件です。
注意: 1人の技術職員が複数の業種で評価対象となる場合もありますが、その判断は複雑なため、専門家にご相談ください。

4. 経審のP点アップと申請は行政書士へ

経審は、提出書類が非常に多く、財務諸表の内容が評価点に直結するため、「P点を1点でも多く取るための戦略的な申請」が重要となります。
当事務所では、企業の財務状況、保有資格、施工実績を詳細に分析し、P点アップに繋がる指導を行うとともに、複雑な経審の申請手続きを一括で代行いたします。

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この記事を書いた人

行政書士古川俊輔: 建設業許可専門の行政書士
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