赤字決算・債務超過でも建設業許可は取れるのか?
1. 結論:赤字決算・債務超過でも許可取得は可能です
建設業許可を取得するための「財産的基礎(金銭的信用)」の要件は、直前の決算書の良し悪しだけでは決まりません。
赤字決算や、貸借対照表上の債務超過(資産<負債)の状態であっても、ある特定の要件をクリアすることで、建設業許可を取得することが可能です。
許可要件の基本的な考え方
建設業許可の目的は、「工事を完成させる資金力と、事業を継続する安定性があること」を証明することです。この証明方法は、主に以下の2つのルートがあります。
- 直前の決算書の数字でクリアする(財務要件)
- 現時点の資金力を証明してクリアする(資金調件)
2. 財務要件:決算書でクリアできる場合
2-1. 一般建設業許可の場合
一般建設業許可の場合、直前の決算書で以下のいずれかを満たしていれば、財産的基礎の要件はクリアできます。
- ① 自己資本が500万円以上であること
- 自己資本(純資産の部合計額)が500万円以上であれば、赤字(当期純損失)があっても、債務超過でなければ基本的に問題ありません。
- ② 500万円以上の資金調達能力があること
- 債務超過の状態であっても、直前の決算書上の数字に関わらず、現時点で500万円以上の資金調達能力があることを証明すれば、許可要件はクリアできます。
2-2. 特定建設業許可の場合
特定建設業許可の場合、要件は非常に厳しくなります。以下の4つの基準すべてを直前の決算書でクリアすることが求められます。
- 欠損の額が資本金等の20%以下であること
- 流動比率(流動資産÷流動負債)が75%以上であること
- 資本金が2,000万円以上であること
- 自己資本の額が4,000万円以上であること
- 特定建設業許可を申請する場合、債務超過はもちろん、赤字決算の時点で上記の財務要件をクリアすることは極めて困難です。特定建設業を目指すなら、健全な財務体質への改善が必須となります。
3. 債務超過・赤字決算でも許可を取る「裏ワザ」(資金調達能力の証明)
一般建設業許可の申請において、直前の決算書が債務超過や自己資本500万円未満であった場合でも、以下の方法で「500万円の資金調達能力」を証明し、許可を取得できます。
3-1. 銀行残高証明書で証明する
これが最も確実で一般的な方法です。
- 証明方法: 申請日直前の日付で、銀行などの金融機関から「残高証明書」を発行してもらい、500万円以上の預金残高があることを証明します。
- 注意点:
- これは申請に必要な資金を一時的に借りて証明するという行為を認めるものではありません。資金の出所についてチェックされるわけではありませんが、一時的に口座に入れただけと判断されると、自治体によっては許可が下りない場合もあります。
- この証明に使う預金は、申請者(法人または個人事業主)名義でなければなりません。
3-2. 融資証明書で証明する
- 証明方法: 金融機関から、500万円以上の融資を受けられることが明記された融資証明書(融資可能証明書)を取得することで、資金調達能力を証明できり場合があります。
4. まとめ:財務状況と許可取得の戦略
赤字決算や債務超過であっても、一般建設業許可であれば「500万円の現時点での資金調達能力」さえ証明できれば、要件はクリアできます。
| 許可の種類 | 対策と結論 |
| 一般建設業 | 銀行の残高証明書(500万円以上)を取得すれば、要件クリアは可能。 |
| 特定建設業 | ほぼ不可能。抜本的な財務改善(増資、利益計上など)が必須。 |
財務状況に不安がある場合は、専門的な知識を持つ行政書士にご相談ください。過去の決算書を分析し、いつ、どのような形で資金を準備すれば最もスムーズに許可を取得できるか、最適な戦略をご提案いたします。
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