個人事業主時代の経験を法人申請で使う方法

個人事業主として長年現場を支えてきた方が、法人化(法人成り)を機に建設業許可の取得を目指すケースは非常に多いです。
「法人としては設立したばかりだけど、個人時代の経験はカウントされるのか?」という不安を抱える方も多いですが、結論から言えば、個人事業主時代の経験は、法人での申請において100%活用することが可能です。
今回は個人事業主時代の経験の活用法について、建設業許可専門の行政書士が解説します。
1. どの要件に個人時代の経験が使えるのか?
主に以下の2つの要件において、個人時代のキャリアをそのままスライドさせて使うことができます。
① 経営業務の管理責任者(経管)
- 必要経験: 5年以上の経営経験。
- 活用方法: 個人事業主として確定申告を5年以上行っていれば、その期間が「経営経験」として認められます。
② 専任技術者(専技)
- 必要経験: 10年以上の実務経験(資格がない場合)。
- 活用方法: 個人事業主として自ら現場に出ていた期間、および従業員として働いていた期間を合算して「実務経験」としてカウントできます。
2. 証明のために絶対に捨ててはいけない「3種の神器」
個人時代の経験を法人で認めてもらうためには、以下の3つの書類が「途切れることなく」揃っている必要があります。
1. 確定申告書の控え(受付印があるもの)
「いつからいつまで、何の事業(建設業)を営んでいたか」を証明する最重要書類です。
- ポイント: 表紙だけでなく、業種名が書かれた「所得税青色申告決算書」などもセットで必要です。
2. 工事請負契約書・注文書・請求書の控え
「具体的にどのような工事(塗装、内装など)を行っていたか」を証明します。
- ポイント: 経管なら5年分、専技(10年実務)なら10年分が必要です。1年に1件あれば良い自治体もあれば、数ヶ月に1件求められる自治体もあります。
3. 通帳の入金記録
請求書に対応する入金を確認することで、取引が「架空のものでないこと」を証明します。
- ポイント: 請求書と通帳の金額が1円単位まで一致している必要があります。
3. 法人成り直後の申請で注意すべき「資本金」
個人時代の経験で「ヒト」の要件をクリアできても、「カネ」の要件でつまずく場合があります。
- 500万円の壁: 法人として許可を取る場合、「資本金が500万円以上」であるか、あるいは会社名義の口座に「500万円以上の残高証明書」を用意する必要があります。
- 対策: 設立時の資本金を500万円以上に設定しておくと、残高証明書をわざわざ取る手間が省け、審査もスムーズに進みます。
4. よくある失敗と対策
確定申告をしていない期間がある
無申告の期間は、たとえ現場でバリバリ働いていても「経営経験」としては一切カウントされません。
- 対策: 遡って申告できる場合もありますが、まずは「今、手元にある申告書で何年分証明できるか」を数え上げることから始めましょう。
個人時代の商号(屋号)と今の社名が違う
「田中塗装」から「株式会社タナカ」になった場合など。
- 対策: 同一人物であることを証明するために、個人事業主時代の「廃業届」や法人の「履歴事項全部証明書(登記簿)」をセットで提出することで、同一性の証明が可能です。
まとめ:あなたの積み上げた時間は無駄になりません
法人成りは、会社を大きくし、より高単価な元請け案件を獲得するための大きなチャンスです。個人時代の苦労と実績は、適切な書類さえ揃えば、強力な「資産」として法人に引き継ぐことができます。
当事務所では、個人事業主から法人へのスムーズな切り替えと、過去の資料を最大限に活かした最短での許可取得をサポートいたします。
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