本店の移転|同じ県内と県外への引越しで手続きはどう変わる?

事業の拡大や効率化に伴う「本店の移転」。建設業許可業者にとって、住所変更は単なる登記の書き換えだけでは済みません。
特に「同じ県内での引越し」か「県外への引越し」かによって、手続きの重みが「ハガキ1枚の報告」と「ゼロからの新規申請」くらい劇的に変わります。それぞれのケースを詳しく解説します。
1. 【ケースA】同じ県内での移転(知事許可の場合)
同じ県(埼玉県内から埼玉県内など)での移転は、比較的シンプルな「変更届」で完了します。
- 届出期限: 移転した日から30日以内。
- 費用: 行政庁への手数料は無料です(書類取得の実費のみ)。
- 主な必要書類:
- 変更届出書
- 履歴事項全部証明書(登記簿原本)
- 営業所の確認資料(新しい事務所の写真、平面図、賃貸借契約書の写しなど)
【注意】 形式的な書類だけでなく、「新しい事務所が建設業の営業所として適切か」を写真で厳しくチェックされます。机、電話、PCがあり、他社と明確に区分けされているかどうかが重要です。
2. 【ケースB】県外への移転(知事許可から別の知事許可へ)
これが最大の注意点です。県をまたぐ場合(例:埼玉県から東京都へ)、現在の許可を引き継ぐことはできず、「許可換え新規(きょかがえしんき)」という手続きが必要になります。
- 手続きの性質: 事実上の「新規申請」です。
- 費用: 新規申請手数料(知事許可なら9万円)が改めてかかります。
- 継続性: 新しい県の許可が下りるまでは、元の県の許可が有効です。許可が途切れることはありませんが、審査期間(約1〜2ヶ月)を見越して早めに動く必要があります。
- 必要書類: 新規申請と同等の膨大な書類(経管・専技の証明、納税証明書など)をすべて揃え直します。
3. 手続きの違い一覧表
| 項目 | 同じ県内での移転 | 県外への移転 |
| 手続きの種類 | 変更届 | 許可換え新規申請 |
| 届出期限 | 30日以内 | 移転後速やかに(審査期間を考慮) |
| 手数料(印紙代) | 0円 | 90,000円 |
| 難易度 | 低(報告に近い) | 高(ゼロから審査) |
| 許可番号 | 変わらない | 新しくなる |
4. 移転手続きの「3つの落とし穴」
① 法務局の登記を先に済ませる
建設業の変更届には、住所変更後の「履歴事項全部証明書」が必要です。まず法務局で本店の移転登記を行い(移転から2週間以内)、それが完了してから建設業の手続きに入るという流れになります。
② 「営業所の実体」に厳しい自治体がある
移転先の事務所が「自宅の一部」や「共有スペース」の場合、間取りや入り口の構造によっては、移転後の変更届が受理されないリスクがあります。「契約を結んだ後に許可が下りない」という事態を避けるため、事前に事務所の構造を確認しましょう。
③ 許可票(看板)の書き換え
住所が変わるため、営業所に掲げている「許可票(金看板)」も、新しい住所や(県外移転なら)新しい許可番号に作り直す必要があります。
5. まとめ:県外移転は「時間とコスト」の覚悟を
同じ県内の引越しはスムーズですが、県をまたぐ引越しは「建設業許可を取り直す」に等しい大仕事です。
- 引越し先の事務所が要件を満たしているか?
- 新規申請に必要な「過去の資料」がすぐに出せるか?
- 9万円の手数料と数ヶ月の審査期間を織り込んでいるか?
これらを事前にシミュレーションしておくことが、移転後のスムーズな営業再開に繋がります。
当事務所では、移転先の事務所要件の事前チェックから、複雑な「許可換え新規」の書類作成まで、移転に伴うトラブルを未然に防ぐサポートを行っております。
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