専任技術者が急に退職!後任がいないと許可取り消し?

建設業を営む上で、最も恐ろしいリスクの一つが「専任技術者(専技)の突然の退職」です。
結論から申し上げますと、専任技術者が不在になった瞬間、その会社は許可要件を欠いた状態(欠格)となります。そのまま放置すれば、最悪の場合、許可の取り消しという非常に厳しい事態に発展します。
「後任がすぐに見つからない!」という危機的状況で、どのように立ち回るべきか解説します。

1. 猶予期間は「ゼロ」が原則

建設業許可のルールでは、専任技術者は「常時、営業所に勤務していること」が条件です。

  • 現実の厳しさ: 退職した日の翌日に後任が決まっていない場合、その瞬間から許可の要件を満たしていないことになります。
  • 「2週間の届出期限」の勘違い: 「退職から2週間以内に届け出ればいいから、2週間は猶予がある」と誤解されがちですが、これは「退職したという事実を報告する期限」であり、不在で良い期間ではありません。

2. 後任がいない場合に起こる「最悪のシナリオ」

後任が見つからないまま時間が過ぎると、以下のステップで追い込まれていきます。

  1. 500万円以上の工事の請負禁止: 要件を欠いた状態での受注は「無許可営業」となり、刑事罰の対象になります。
  2. 廃業届の提出指導: 役所に退職を届け出た際、後任がいないと「許可を維持できないので、自主的に廃業届(一部廃業を含む)を出してください」と強く指導されます。
  3. 許可の取り消し(行政処分): 自主的に廃業しない場合、行政庁による「許可の取り消し」が行われます。これを受けると、以後5年間は許可を再取得できなくなります。

3. 緊急事態を切り抜ける「4つの対策」

専任技術者が辞めると分かった瞬間(あるいは辞めた直後)、大至急以下のアクションを取る必要があります。

① 社内に代わりがいないか「徹底調査」

資格を持っていなくても、10年の実務経験(または指定学科卒業+3〜5年の経験)があれば専任技術者になれます。

  • 別の業種で登録している社員が、実は今回の業種の経験も持っていないか?
  • 個人の確定申告書や過去の請負契約書を掘り起こして、10年分を証明できないか?

② 「急募」で有資格者を採用する

ハローワークや求人サイト、人脈をフル活用して有資格者を探します。この際、「実務経験の証明書類(前職の協力)」がすぐに出せるかどうかが採用の鍵となります。

③ 「一部廃業」で他の業種を守る

複数の業種(例:土木、建築、塗装)の許可を持っていて、塗装の技術者だけが辞めた場合、塗装だけを「一部廃業」することで、他の許可への影響を最小限に食い止めることができます。

④ 経営業務の管理責任者が「専技」を兼ねる

もし社長(経管)自身が有資格者、あるいは10年の実務経験を持っているなら、社長が一人二役(経管+専技)をこなすことで、要件を維持できます。


4. 届出の期限と「遅延理由書」

専任技術者が退職した際の手続きは以下の通りです。

項目期限内容
専任技術者の抹消届退職から2週間以内前任者の退職を届け出ます。
後任の変更届同時が望ましい後任者の常勤性と資格を証明する書類を提出。

【注意】 2週間を過ぎてしまった場合、「遅延理由書」を添えて提出することになります。数日の遅れなら受理されることが多いですが、数ヶ月放置すると「虚偽の無許可営業」を疑われ、非常に不利な立場になります。


まとめ:リスクヘッジとして「2人目」の育成を

「技術者の退職=倒産の危機」という状況を避けるためには、日頃から以下の備えが欠かせません。

  • 複数の社員に資格(施工管理技士など)を取得させる。
  • 資格取得の費用を会社が全額補助する制度を作る。
  • 10年の実務経験を証明できる書類(注文書等)を常に整理しておく。

当事務所では、専任技術者の不在による緊急事態において、社内人材での「実務経験の再構成」や、最短でのリカバリー策の立案をサポートいたします。
「明日から技術者がいなくなる!」とパニックになる前に。今すぐ打てる手がないか、一緒に確認しましょう。

「建設業のページを見た」とお伝えください。ご相談は無料です。070-8490-7268受付時間 8:00-20:00 [ 土日祝日も対応 ]

お問い合わせ LINEや問い合わせフォームは24時間受付中です。

この記事を書いた人

行政書士古川俊輔
行政書士古川俊輔
建設業許可専門の行政書士
埼玉県で地域密着対応
平成生まれの若さを活かしたフットワークの軽さが強み
迅速・丁寧・確実な許認可サポート