経営事項審査とは
公共工事を直接請け負おうとする建設業許可業者に義務付けられた審査です。
公共工事各発注機関は、競争入札に参加しようとする建設業者の資格審査を行いますが、経営事項審査の結果を利用しますので、入札参加を希望する建設業者は必ず経営事項審査を受ける必要があります。
審査基準日と審査対象事業年度
申請をする日の直前の決算日が審査基準日となります。
また、申請日の属する事業年度開始日の直前1年(12か月)を審査対象事業年度といいます。
例 令和7年3月31日が決算日の法人が、令和7年6月に経営事項審査を申請する場合
- 審査基準日:令和7年3月31日
- 審査対象事業年度:令和6年4月1日から令和7年3月31日
経営事項審査の有効期間
経営事項審査の有効期間は、審査基準日から1年7か月です。
有効期間をすぎると、公共工事の発注者と直接請負契約を締結することができなくなります。
そのため、毎年公共工事を請け負おうとする場合は、毎年事業年度終了後、決算が確定したら速やかに手続を行い、経営事項審査の結果通知を受けておく必要があります。
経営事項審査の流れ
経営事項審査は「経営状況分析」「経営規模等評価申請及び総合評定値請求」の2つで構成されています。
まずは国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関に「経営状況分析」の申請を行います。
埼玉県で経営状況分析をする場合は、以下の2つのどちらかに申請することが多いでしょう。
- (一財)建設業情報管理センター
無料の申請書作成ソフト「なんでも経審Plus」で有名。 - ワイズ公共データシステム(株)
経営状況分析申請を申請することで、行政書士の方は申請書作成ソフトが無料で使えます。
経営状況分析結果通知書を受け取ったら、「経営規模等評価申請及び総合評定値請求」を行います。
審査が完了すれば、「経営規模等評価結果通知書及び総合評定値通知書」が交付されます。
埼玉県の経営事項審査に必要な手数料と提出書類
経営状況分析
分析機関によって料金は異なりますが、おおよそ13,000円前後です。
参考として、CIIC(建設業情報管理センター)の電子申請の分析手数料は12,340円(税込)です。(令和7年時点)
必要な書類は主に経営状況分析申請書、建設業許可通知書の写し、財務諸表、減価償却実施額が確認できる資料等です。
分析機関によって異なる場合がありますので、申請の際は各分析機関をご確認ください。
経営規模等評価申請及び総合評定値請求
審査手数料は、申請業種が1業種の場合は11,000円です。
ここから1業種追加のたびに+2,500円増えていき、最大は29業種の81,000円です。(28 × 2,500 + 11,000)
埼玉県の経営規模等評価申請及び総合評定値請求に必要な書類は以下の通りです。
申請書類
書類 | 注意点 |
予約受付完了メールの写し | 予約手続完了後に、経営事項審査スマート予約システムから配信される「予約受付完了」メールの全文を印刷したもの |
窓口キャッシュレス決済 県控え貼付用紙 | 「埼玉県電子申請・届出サービス」「納付書」で納付の場合は不要。 許可番号・申請者・納付者を記入する |
1.経営規模等評価申請書・総合評定値請求書 2.工事種類別完成工事高/工事種類別元請完成工事高 3.その他の審査項目(社会性等) 4.技術職員名簿 | 番号順に並べたものを3部提出する |
委任状 | 行政書士が代理人として申請する場合に提出する(写しも可) 委任者の押印が必要 |
経営状況分析結果通知書 | 原本1部、写しを1部それぞれ提出する |
添付書類
書類 | 注意点 |
工事経歴書 | 審査対象事業年度の申請業種分を提出する |
建設機械等の保有状況 | 2部提出する 審査基準日時点で建設機械等を保有している場合は提出する |
工事種類別完成工事高付表/工事種類別元請完成工事高付表 | 完成工事高の積み上げを行う場合は提出する |
技術職員略歴書 | 実務経験年数を必要とする資格保有者の場合は提出する 前回受審時に提出している略歴書の場合は、提出不要 |
経理処理の適正を確認した旨の書類 | 公認会計士、税理士、1級登録経理試験の合格者が経理処理の適正を確認した場合に提出する |
継続雇用制度の適用を受けている技術職員名簿 | 高年齢者雇用安定法の対象者で、継続雇用制度の適用を受けている技術職員名簿掲載者がいる場合に提出する |
CPD単位を取得した技術者名簿 | CPD単位を取得した者がいる場合に提出する |
技能者名簿 | 能力評価(レベル判定)対象者がいる場合に提出する |
CPD単位内訳一覧表 | CPD単位を取得した者がいる場合に提出する |
建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置を実施した旨の誓約書及び情報共有に関する同意書 | 審査基準日以前1年以内に発注者から直接請け負った建設工事で、 建設キャリアアップシステム(CCUS)上での現場・契約情報の登録と 建設工事に従事する者が直接入力によらない方法で CCUS上に就業履歴を蓄積できる体制の整備 を実施している場合に提出する |
「資本性借入金」該当証明書 | 経営状況分析の申請時に提出した場合に写しを提出する |
確認書類(返却されないため、原本ではなく写しを提出)
書類 | 注意点 |
建設業許可通知書又は証明書 | 申請日現在有効なものを全許可業種分提出する |
建設業許可申請書の副本 | 申請日及び審査基準日時点で有効な、受付印のある表紙及び「役員等の一覧表」を提出する |
変更届出書(決算報告書)のうち、 ①収受印のある表紙 ②直前3年の各事業年度における工事施工金額 ③損益計算書 | 審査対象事業年度分のみの提出で可 |
消費税及び地方消費税の確定申告書控え | 免税業者は不要 |
消費税及び地方消費税の納税証明書 | 納付すべき税額、納付した税額及び未納税額等を証明するもの 免税業者についても「納税額なし」と記載あるものが必要 |
前回受けた経営事項審査の ① 申請書の控え ② 結果通知書 | 初めて申請する場合は不要 |
① 労働保険概算・確定保険料申告書(保険料納入通知書) ② 領収済通知書(領収書) | 分納の場合は、審査基準日を含む期の分のみの提出で可 法人の役員、個人事業主、同居の親族のみで構成されるなど雇用保険が適用除外とされた場合は不要 労働保険事務組合委託の場合は、労働保険事務組合発行の加入証明書又は保険料納入通知書及び領収書の提出が必要 |
健康保険・厚生年金保険の領収書等 | 審査基準日を含む月分保険料の領収済額通知書を提出する |
建設業退職金共済事業加入・履行証明書(経営事項審査用) | 加入している場合は提出する |
退職一時金制度若しくは企業年金制度の導入を確認できる書類 | 導入している場合は提出する |
法定外労働災害補償制度の加入証明書 | 加入している場合は提出する |
最初に受けた建設業許可の通知書 | 経営事項審査を初めて申請する場合は提出する |
再生手続又は更正手続開始決定通知書 | 平成23年4月1日以降の申立てに係る再生又は更生手続開始の決定を受け、終結の決定を受けていない場合は提出する |
① 防災協定書 ② 防災協定締結団体の加入証明書 | 防災協定を締結している場合は提出する |
法令遵守の状況を確認できる書類 | 審査対象事業年度に次の処分を受けた場合は提出する ・営業停止処分を受けた場合→営業停止命令書の提出が必要 ・指示処分を受けた場合→指示書の提出が必要 |
監査の受審状況を確認できる書類 | ・会計監査人を設置している場合は、有価証券報告書及び会計監査人の設置が記載された登記簿謄本の提出が必要 ・会計参与を設置している場合は、会計参与報告書及び会計参与設置が記載された登記簿謄本又は定款の提出が必要 |
公認会計士等の資格者証 | 常勤役職員の中に公認会計士、税理士、1級又は2級の登録経理試験合格者がいる場合に提出する |
研究開発の状況を確認できる注記表 | 会計監査人設置会社で研究開発費を計上している場合は提出する |
① 建設機械等の保有が確認できる書類 ② 法定検査の実施等が確認できる書類 | 保有が確認できる書類は前回受審時に「所有」で評価対象となった場合は省略可 審査対象事業年度内の法定検査の実施等が確認できる書類 |
エコアクション21、ISO認証登録証明書 | エコアクション21、ISO9001又は14001認証がある場合は提出する |
常勤性を確認できる書類 | 技術職員名簿、CPD単位を取得した技術者名簿、技能者名簿に記載がある者は(1)~(3)のいずれかを提出する 原則 (1)~(3)の優先順位で提出する (1)社会保険被保険者標準報酬決定通知書 (2)住民税特別徴収税額通知書 (3)給与明細書及び出勤簿等の出勤日数を確認できる書類 |
技術職員の資格者証等 | 「資格区分コード表」の必要な確認書類を提出する |
技術職員が取得したCPD単位数を証する書面等 | 該当者がいる場合は提出する いずれか一団体分のみ |
能力評価(レベル判定)結果通知書 | 該当者がいる場合は提出する |
施工体制台帳の作業員名簿 | 技能者名簿を作成する場合は提出する |
① 監理技術者資格者証 ② 監理技術者講習修了証 | 1級監理受講者を記入する場合は提出する |
ワーク・ライフ・バランスに関する取組の状況に関する認定通知書 | 以下の認定を受けている場合は提出する ・えるぼし認定、プラチナえるぼし認定 ・くるみん認定、トライくるみん認定、プラチナくるみん認定 ・ユースエール認定 |
工事経歴書に記載した工事のうち、請負代金の大きい順に上位3件の契約書等 | 業種毎に元請、下請関係なく請負代金の大きい順に上位3件の「工事請負契約書」「注文書及び請書」「請求書及び領収書」 |
契約後VEによる契約減額が証明できる発注機関発行の証明書 | 契約後VEによる縮減変更前の契約額で評価をする完成工事高の評価の特例を利用した場合に提出する |
経営事項審査の注意点
経営事項審査の手続きに遅れが生じてしまうと、入札に参加できない期間が生じてしまいます。
提出する書類も多く、特に工事経歴書は慣れていないと作成に時間がかかってしまいます。
経営事項審査をスムーズに進めたいときは、専門家である行政書士に相談するのがおすすめです。
埼玉県の経営事項審査はおまかせください!
当事務所は建設業許可専門の行政書士が経営事項審査のサポートをしています。
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