土木一式工事を取得するための資格と実務経験

1. 土木一式工事とは?

土木一式工事とは、道路、橋梁、河川、ダム、トンネル、上下水道など、大規模な工作物の建設・改造・除去を行う総合的な企画、指導及び調整の下に土木工作物を建設する工事を指します。

「一式工事」の特殊性

「土木一式工事」の許可は、これ自体が専門工事ではなく、複数の専門工事(とび・土工、舗装、しゅんせつなど)を組み合わせて行う総合的なマネジメント力を評価するための許可です。

  • 重要: 土木一式工事の許可を持っていても、個別の専門工事(例:舗装工事だけ、水道施設工事だけ)を請け負う場合、500万円以上であれば、それぞれの専門工事の許可が必要になります。
    • 例:舗装工事のみを500万円以上で請け負うには「舗装工事業」の許可が必要。

2. 土木一式工事の専任技術者(専技)要件

土木一式工事の許可を取得するためには、その営業所に常勤する「専任技術者(専技)」が以下の要件のいずれかを満たしている必要があります。

ルート①:国家資格を持っている(特定・一般共通ルート)

以下の国家資格を持つ技術者であれば、一般・特定建設業の両方で専任技術者になることができます。

資格区分資格名
施工管理技士1級土木施工管理技士
技術士建設部門、総合技術監理部門(建設)
  • ポイント: 特定建設業許可を目指す場合、原則としてこの1級土木施工管理技士などの国土交通大臣が定める資格が必要となります。

ルート②:国家資格を持っている(一般建設業のみ)

以下の資格を持つ技術者は、一般建設業許可の専任技術者になることができます。

資格区分資格名
施工管理技士2級土木施工管理技士(土木)
技術士建設部門(選択科目による)

ルート③:指定学科の卒業と実務経験

大学、高専、高校などで「指定学科」(土木工学、都市工学など)を卒業している場合、実務経験年数が短縮されます。

最終学歴実務経験年数(一般建設業)
大学・高専(指定学科)3年
高校(指定学科)5年

ルート④:実務経験のみ

資格も指定学科の卒業もない場合、土木一式工事に関する10年以上の実務経験が必要です。

  • 証明のポイント: 10年間の間に、土木一式工事または土木工事業の技術的な指導・監督に関わった事実を、請負契約書や通帳などで客観的に証明する必要があります。

3. 特定建設業における「指導監督的実務経験」の壁

大規模な工事を下請けに発注する「特定建設業許可」を取得する場合、資格がない技術者が専任技術者になるには、さらに厳しい要件が課せられます。

指導監督的実務経験の要件

  1. 一般建設業許可の専任技術者要件を満たしていること。
  2. 申請する業種(土木一式工事)に関する元請けとして請け負った4,500万円以上の工事を、2年以上にわたり「指導監督的な実務」として経験していること。
  • この要件をクリアできる技術者は限られており、特定建設業を目指す多くの会社は、1級土木施工管理技士の資格保有者を専任技術者として配置します。

4. まとめ:土木一式工事の許可戦略

土木一式工事の許可は、会社を成長させるための大きな柱となります。

許可の種類専任技術者の確保戦略財務要件の難易度
一般建設業2級土木施工管理技士、または指定学科+3~5年の経験、または10年の実務経験者でクリア可能。比較的緩い(500万円の資金調達能力)
特定建設業1級土木施工管理技士の確保が最重要。資格がない場合は「4,500万円以上の元請け経験」が必須。非常に厳しい(自己資本4,000万円以上など4要件)

土木一式工事は、元請けとしての総合的な実力を証明する許可です。
当事務所では、お客様の現在の技術者と保有資格を分析し、土木一式工事の一般許可、または特定許可の取得に必要な最短ルートを戦略的にご提案いたします。

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この記事を書いた人

行政書士古川俊輔
行政書士古川俊輔
建設業許可専門の行政書士
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