建設業許可を返納するケースと手続きの流れ
建設業許可は、許可要件を満たさなくなった場合や、事業を完全に終了する場合など、特定の事由が発生した際に、行政庁に許可証を返還し、その事実を届け出る(廃業届を提出する)義務があります。
これは、許可を取得するのと同じく、建設業法上の義務です。
この記事では、建設業許可の返納(廃業届)が必要となる主なケースと、手続きの流れ、そして注意点を解説します。
1. 建設業許可の「返納(廃業届)」が必要となる主なケース
許可の返納手続きが必要となる主な事由は、以下の通りです。
ケース①:事業を完全に廃止・終了した場合
建設業を営まなくなった場合、または会社を解散・倒産させた場合です。
- 個人事業主の場合: 事業主本人が死亡した場合、または建設業を廃止した場合。
- 法人の場合: 法人が解散、合併により消滅、または破産手続きの開始決定を受けた場合。
ケース②:許可の有効期間が満了し、更新しなかった場合
許可の有効期間(5年間)が満了したにもかかわらず、更新申請を行わなかった場合、許可は失効します。この場合も、失効の事実を届け出る必要があります。
ケース③:事業形態を変更した場合(法人成りなど)
個人事業主が法人を設立し、法人として改めて許可を取得する場合、個人事業主としての旧許可は廃止・返納する必要があります。
- これは、個人と法人は法的に別人格であるためです。個人名義の許可は、承継手続きをすることで法人に引き継ぐことが可能です。
ケース④:許可の要件を欠いた場合
- 経管や専技の不在: 許可要件を満たす経営業務の管理責任者(経管)や専任技術者(専技)がいなくなり、事業再開の見込みがないと判断した場合。
2. 返納(廃業届)の手続きの流れ
廃業届の提出期限は、原則として事由が発生した日から30日以内と、非常に短く定められています。
| 内容 | 注意点 |
| 事由の確認と必要書類の準備 | 返納事由(例:法人の解散、個人の死亡など)を特定し、その証明書類を準備します。 |
| 廃業届の作成 | 行政庁指定の様式(廃業届)に、廃業事由、日付、および届け出る業種を正確に記載します。 |
| 許可証原本の添付 | 取得時の建設業許可証の原本を添付します。(紛失した場合は「紛失理由書」を提出します。) |
| 行政庁への提出 | 営業所を管轄する都道府県庁(知事許可の場合)または国土交通省(大臣許可の場合)に提出します。 |
法人解散の場合の注意点:
法人が解散した場合、廃業届には解散の登記簿謄本や清算人の選任を証明する書類などの添付が必要です。
3. 返納手続きにおける注意点
注意点①:工事の完成義務
建設業許可を返納しても、既に請け負っている工事に関する契約上の義務(施工責任)は残ります。返納する前に請け負った工事については、完成させる責任があります。
注意点②:税務署・社会保険の手続きとは別
建設業許可の廃業届は、税務署や年金事務所に提出する廃業届とは完全に別個の手続きです。建設業許可の廃業届を提出しても、自動的に税務上の廃業や社会保険の資格喪失にはならないため、別途、関係機関への届出が必要です。
注意点③:返納後の再取得の難しさ
一度許可を返納した後、再度事業を開始するために許可を取得する場合、「新規申請」として一から手続きを行う必要があります。
- 返納前に許可要件(経管・専技など)を満たさなくなった事由がある場合、その後の再取得に影響が出ることがあります。
4. 許可の返納手続きも専門家にお任せください
建設業許可の返納手続きは、特に法人化に伴う移行や、個人事業主の死亡など、他の法務・税務手続きが同時に発生する場合、非常に複雑になります。
行政書士に依頼することで、以下のメリットがあります。
- 迅速な手続き: 30日以内の期限に間に合うよう、必要な書類を漏れなく迅速に作成・提出します。
- 他の手続きとの連携: 法人設立、解散登記、税務署への届出など、関連する他の手続きを行う専門家(司法書士、税理士など)との連携をサポートできます。
許可の整理を確実に行い、新たなステップへスムーズに移行するためにも、ぜひご相談ください。
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