解体工事業の建設業許可と解体工事業登録の違いを徹底解説
解体工事を請け負う場合、事業者は「建設業許可」または「解体工事業登録」のいずれかを取得している必要があります。
かつて、解体工事は「とび・土工工事業」に含まれていましたが、2016年の建設業法改正により、「解体工事業」が独立した業種となりました。この背景には、建設リサイクル法の適切な運用と、解体工事の専門性・安全性の確保があります。
この記事では、この二つの制度の明確な違いと、どのような場合にどちらの手続きが必要になるのかを解説します。
1. 制度の根拠法と目的の違い
建設業許可と解体工事業登録は、それぞれ異なる法律に基づいています。
| 制度名 | 根拠法 | 目的と規制の中心 |
| 建設業許可(解体工事業) | 建設業法 | 建設工事の契約の適正化と経営体制の健全性の確保。 |
| 解体工事業登録 | 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法) | 建設廃棄物の適正な分別解体と再資源化の推進。 |
2. 最大の違いは「請負金額の制限」
解体工事業の許可と登録の最も大きな違いは、請け負える工事の金額にあります。
① 建設業許可(解体工事業)
- 対象工事金額: 500万円以上(税込)の解体工事を請け負う場合に必須。
- 請負上限: 制限なし(ただし、特定建設業許可を取得すれば大規模な下請契約も可能)。
- 取得難易度: 高い。経営業務の管理責任者、専任技術者、財産的基礎(500万円以上の資金力)など、企業の総合的な経営体力が審査されます。
② 解体工事業登録
- 対象工事金額: 500万円未満(税込)の解体工事のみを請け負う場合に必須。
- 請負上限: 500万円。この金額以上の工事は請け負えません。
- 取得難易度: 比較的低い。主に技術管理者(解体工事施工技士など)の選任や、欠格要件の有無などが審査されます。
3. 登録が不要となる「特例」ケース
請負金額が500万円未満の軽微な解体工事のみを行う場合でも、原則として解体工事業登録が必要ですが、以下のいずれかの建設業許可を取得していれば、解体工事業登録は不要となります。
| 建設業許可 | 登録の特例 |
| 解体工事業 | 許可を取得していれば、金額に関係なく解体工事が可能であり、登録は不要。 |
| 土木一式工事業 | 元請けとして総合的な企画・指導・調整のもとに解体工事を行う場合に限り、登録は不要。 |
| 建築一式工事業 | 元請けとして総合的な企画・指導・調整のもとに解体工事を行う場合に限り、登録は不要。 |
注意点:
以前、解体工事とみなされていた「とび・土工・コンクリート工事業」の許可のみを持っている業者は、500万円未満の解体工事を行う場合でも、新たに「解体工事業登録」を受けるか、「解体工事業の許可」を取得する必要があります。
4. 地域的な制約の違い
- 建設業許可: 一つの都道府県知事許可または国土交通大臣許可を取得すれば、全国どこでも営業活動が可能です。
- 解体工事業登録: 営業所を管轄する都道府県知事の登録ですが、工事を行う都道府県ごとに登録が必要です(例:東京都で登録していても、神奈川県で工事をするには神奈川県での登録が必要)。
5. どちらの手続きが必要か?判断チャート
| 請負金額 | 建設業許可の有無 | 必要な手続き |
| 500万円以上 | なし | 解体工事業の建設業許可が必須。無許可で施工すると罰則対象。 |
| 500万円未満 | 土木・建築一式・解体の許可あり | 解体工事業登録は不要(許可でカバーされる)。 |
| 500万円未満 | 上記の許可がない | 解体工事業登録が必須。 |
解体工事業は、請負金額だけでなく、請け負う工事の種類や目的によって必要な手続きが異なり、非常に複雑です。法令遵守を徹底し、安全かつ適法に事業を行うためには、専門家による判断が不可欠です。
当事務所では、貴社の事業規模や将来の展望に合わせて、「解体工事業登録」と「建設業許可」のどちらが必要かを診断し、手続きを代行いたします。
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