「500万円以上の工事」の罠|消費税込み?材料費は?

1. 建設業許可の要・不要を分ける「500万円の壁」とは?

建設業を営む上で最も重要なルールのひとつが、「請負金額500万円未満の軽微な工事のみを請け負う場合は、建設業許可は不要」という規定です。
しかし、「500万円」の判断を誤ると、意図せず無許可営業となり、罰則の対象となるリスクがあります。この「500万円」を計算する上で、多くの事業者が陥る2つの罠を徹底解説します。


2. 罠その1:税込?税抜?

最も多くの方が誤解するのが、請負金額に消費税を含めるかどうかです。

正解:請負金額は「消費税込み」で判断する

建設業法では、許可の要・不要を判断する際の請負金額は、「消費税及び地方消費税を含んだ金額」で判断すると定められています。

請負金額(契約書記載)消費税許可の要否
490万円(税抜)49万円539万円(税込)なので、許可が必要
454万円(税抜)45.4万円499.4万円(税込)なので、許可は不要
  • ポイント: たとえ税抜きの請負金額が500万円未満であっても、税込で500万円を超えれば、建設業許可が必要になります。
  • 特に免税事業者の方は、税金の計算を意識していないと、この税込判定で許可が必要なラインを超えてしまうケースが多発しています。

3. 罠その2:材料費は含む?分離発注は?

「請負金額」の算定には、材料費や運搬費など、工事にかかる費用をどこまで含めるのでしょうか?

正解:発注者から提供される材料費は「すべて請負金額に含む」

請負金額の判断においては、工事の原価や内訳に関わらず、発注者から受け取る対価のすべてが含まれます。

  1. 材料費:
    • 発注者が購入し、業者に提供する材料の費用は「請負金額」に含めます。この場合、「請負金額+提供材料費の市場価格」で500万円を超えるかどうかが判断されます。
  2. 運搬費、諸経費、利益:
    • これらはすべて請負金額に含まれます。

分離発注の落とし穴

発注者が工事を細分化し、「分離発注」を行った場合でも、合計額が500万円の基準を超える場合は注意が必要です。

  • 発注者が一つの目的物を作るために、分割して発注した場合、その工事が社会通念上一つの工事と見なされる場合は、原則として全体で500万円を超えるかどうかで判断されます。
    • 例:1月に400万円、2月に400万円で同一建物の内装工事を発注(合計800万円)→ 全体で許可が必要と判断されるリスクが高い。

4. 特例:建築一式工事の「軽微な工事」の基準

一般的な専門工事(電気、管、内装など)は500万円のルールで統一されていますが、「建築一式工事」には特別な基準が設けられています。
建築一式工事とは、総合的な企画・指導・調整のもとに建築物を建設する工事を指します。

建築一式工事の基準許可の要否
請負金額が1,500万円未満の工事許可不要(軽微な工事)
延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事許可不要(軽微な工事)
上記以外(1,500万円以上、または150㎡以上の木造住宅)許可必要
  • 注意点: 「建築一式工事」は総合的な工事を指すため、単なる内装工事や外壁塗装ではこの特例は使えません。専門工事として500万円基準で判断されます。

5. まとめ:無許可営業のリスクを避けるために

「500万円」の判断ミスは、「知らなかった」では済まされません。無許可で500万円以上の工事を請け負った場合、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金という非常に重い罰則が科される可能性があります。
もし以下の状況であれば、すぐに許可取得を検討してください。

  1. 税込みで500万円以上の工事を請け負う可能性がある。
  2. 元請けから、分割発注でも工事全体で500万円を超えていると指摘された。
  3. 今後、大型の工事にステップアップしたい。

曖昧な判断で事業を続けるのはリスクでしかありません。

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この記事を書いた人

行政書士古川俊輔
行政書士古川俊輔
建設業許可専門の行政書士
埼玉県で地域密着対応
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