建設業許可がないとどうなる? 無許可営業の罰則とリスク
1. 建設業許可がない状態が引き起こす最大のリスク
建設業許可がない状態で、本来許可が必要な工事(原則として請負金額500万円以上の工事)を請け負う行為を「無許可営業」と呼びます。
無許可営業は、単なるルール違反ではなく、建設業法違反という非常に重い犯罪行為にあたります。
最悪の罰則:3年以下の懲役または300万円以下の罰金
建設業法第47条には、無許可営業に対する罰則が明確に定められています。
建設業法 第47条(無許可営業の罰則) 許可を受けないで建設業を営んだ者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する。
この罰則は、法人(会社)にも適用されます(両罰規定)。つまり、社長が罰金刑に処されるだけでなく、会社自体にも罰金が科される可能性があります。
罰則を受けると許可取得が不可能に
もしこの罰則を受けてしまった場合、その法人は欠格要件に該当することになり、罰則を受けてから5年間は新たに建設業許可を申請することができなくなります。
事実上、その期間は事業の継続・拡大が極めて困難になります。
2. 刑事罰以外の重大なリスク
刑事罰の対象にならなかったとしても、無許可営業はあなたの事業に以下のような深刻な不利益をもたらします。
2-1. 元請け・大手企業との取引停止
現在、大手の元請け企業は法令遵守(コンプライアンス)を徹底しており、「無許可業者」とは一切取引をしない方針を掲げています。
- 取引停止の指示: 元請けから許可の取得を強く求められ、期限までに取得できなければ契約を打ち切られてしまう可能性が非常に高いです。
- 信用失墜: 一度無許可営業が発覚すると、「法令を守らない会社」というレッテルを貼られ、業界内での信用を完全に失います。
2-2. 契約が無効になる可能性
無許可で請け負った500万円以上の工事契約が、法律上、無効と判断されるリスクがあります。
- 発注者が契約の無効を主張した場合、工事代金を受け取れないなどの金銭的なトラブルに発展する可能性があります。
- 契約の有効性について裁判になった場合、敗訴するリスクが高まります。
2-3. 融資や保証審査の厳格化
建設業許可は、金融機関が企業の信用度を測る重要な指標の一つです。
- 許可がない状態では、銀行からの融資や信用保証協会での保証審査が厳しくなり、事業拡大に必要な資金調達が難しくなります。
- 特に、公共工事への参入を目指す際に必須となる経営事項審査(経審)の申請もできません。
3. 無許可営業に該当するケース(よくある間違い)
悪意がなくても、以下のケースで無許可営業と判断されることがあります。
| ケース | 解説 |
| 単価を分割する | 550万円の工事を、契約書上で2件に分けるなど、意図的に500万円未満に見せかける行為は、脱法行為として厳しくチェックされます。 |
| 消費税の計算ミス | 請負金額が税抜で490万円でも、税込で500万円を超えていれば無許可営業です。 |
| 材料費の扱い | 業者が材料を調達した場合、材料費も含めた総額で500万円の基準を超えていないか確認が必要です。 |
| 下請けの場合 | 元請けから請け負う工事でも、その金額が500万円以上であれば、下請け側も許可が必要です。 |
4. まとめ:リスクを回避し、事業拡大を目指すために
建設業許可は、あなたの事業の信頼を確保し、法的リスクから守るためのパスポートです。500万円という基準は、事業拡大の「壁」ではなく「チャンス」と捉えるべきです。
もし、現在許可のない状態で500万円以上の工事を請け負っている、または今後請け負う予定がある場合は、一刻も早く許可を取得しなければなりません。
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