親の建設会社を継ぐ|息子が許可要件を満たすための準備

「親が引退を考えているが、そのまま会社を引き継げば許可も勝手に付いてくるだろう」
そう考えているなら、非常に危険です。
建設業許可は「会社」に与えられるものですが、その実体は「人(経営責任者や技術者)」に紐付いています。親が引退し、息子が後を継ぐ際、息子自身が要件を満たしていなければ、その瞬間に許可は失効してしまいます。
スムーズな事業承継のために、今から準備しておくべき「3つのポイント」を解説します。

1. 最大の壁:「経営業務の管理責任者(経管)」の経験

親が「経管」として許可を支えている場合、息子が後任になるには「5年以上の経営経験」が必要です。

  • 今すぐすべきこと:息子を「取締役(役員)」として登記する
    単に「部長」や「現場監督」として働いているだけでは、経営経験とはみなされません。法務局で役員として登記され、その状態で5年が経過して初めて、経管になる資格が得られます。
  • 注意点: 登記だけでなく、実際に役員報酬を支払っている実績や、組織図上の地位も確認されます。

2. 「専任技術者(専技)」をどう引き継ぐか

もし親が「有資格者」として専任技術者を兼ねている場合、息子も技術的な要件をクリアする必要があります。

  • 最短ルート:国家資格を取得する
    「10年の実務経験」を証明するのは、過去の書類整理を含め非常に大変です。1級・2級の施工管理技士などの国家資格を取れば、実務経験の年数に関わらず(一部例外あり)すぐに専任技術者になれます。
  • バックアップ案:有資格者の雇用
    息子が資格を取るまでの間は、有資格者の社員を雇用し、その人に「専技」を任せることで許可を維持することも可能です。

3. 「個人事業」か「法人」かによる手続きの違い

承継の形態によって、許可の引き継ぎやすさが劇的に変わります。

形態承継のしやすさ手続きの特徴
法人(株式会社など)比較的スムーズ役員を入れ替える「変更届」で済みます。ただし、後任の要件クリアが絶対条件。
個人事業主非常に難しい以前は「一代限り」でしたが、現在は「事業承継承認申請」を事前に行えば、許可番号を引き継げるようになりました。

【重要:個人事業の場合】 親が亡くなってからでは遅すぎます。親が元気なうちに、役所へ「息子へ譲ります」という承認申請を出しておく必要があります。


4. 承継を成功させるための「ロードマップ」

息子が30代〜40代で継ぐことを想定した場合、以下のようなスケジュールが理想的です。

  1. 【5年以上前】 息子を取締役(役員)に登記し、経営に参加させる。
  2. 【並行して】 息子に国家資格の勉強をさせ、取得させる。
  3. 【3ヶ月前】 行政書士に相談し、経管・専技の交代シミュレーションを行う。
  4. 【承継当日】 代表者変更の登記と、建設業の変更届をセットで行う。

5. まとめ:事業承継は「時間」との戦い

「親に万が一のことがあったら」と考えるのは心苦しいものですが、何の準備もないままその日が来ると、取引先への支払いや従業員の雇用を支える「許可」が消えてしまいます。

  • 息子は役員になっているか?
  • 資格を持っているか?
  • 過去の工事実績(注文書等)は整理されているか?

この3点を確認することが、親から子への「最高のギフト」になります。
当事務所では、数年先を見据えた「事業承継コンサルティング」を行っております。
今の体制でいつ承継可能なのか、足りないものは何かを明確にするための「承継診断」をご活用ください。

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この記事を書いた人

行政書士古川俊輔
行政書士古川俊輔
建設業許可専門の行政書士
埼玉県で地域密着対応
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