確定申告をしていない期間がある場合、実務経験として認められる?
1. 結論:原則として「実務経験」の証明は非常に困難です
建設業許可の要件である専任技術者(専技)の実務経験10年を証明する場合、その期間に個人事業主として建設業を営んでいたのであれば、確定申告書は重要な証明書類の一つとなります。
確定申告をしていない期間がある場合、その期間の「建設業を営んでいた事実」や「期間の継続性」を公的に証明することが難しくなり、原則として実務経験としては認められない可能性が高くなります。
2. なぜ確定申告書が重要な証明書類となるのか?
行政庁が実務経験の有無を審査する際、重視するのは「客観性と継続性」です。確定申告書は、以下の2点を同時に証明できる強力な公的書類です。
2-1. 建設業を営んでいたことの証明
確定申告書には、事業の種類として「建設業」を記載します。また、収支内訳書や青色申告決算書には、売上や経費など事業活動の実態が記載されます。
- 確定申告がない場合: 「過去に建設業を仕事としていた」という主張を裏付ける公的な根拠が失われます。
2-2. 経験期間の「常勤性・継続性」の証明
専任技術者の実務経験は、継続して10年間その業種に従事していたことが求められます。
- 確定申告がない場合: その期間、本当に建設業を主たる生業としていたのか、あるいは一時的なアルバイトや雑務期間ではなかったのかという疑念を行政庁に持たれてしまいます。
3. 確定申告がない場合の「代替証明」は可能か?
確定申告書がない期間の経験をどうしても証明したい場合、極めて困難ではありますが、以下の補強書類を組み合わせて証明を試みることになります。
3-1. 確定申告書の代替証明として提出を求められる書類
確定申告書がない場合、行政庁は「その期間、建設業を継続的に営んでいたこと」を証明するために、以下のような書類を網羅的に提出するように求めてきます。
| 証明したいこと | 必要な代替書類の例 |
| 事業活動の証明 | 全期間の工事請負契約書、請求書、発注書、納品書 |
| 入金実績の証明 | 全期間の工事代金の入金が確認できる通帳の写し |
| 技術的関与の証明 | 施工図面、工程表など(申請者本人が関与したことがわかるもの) |
| 事業実態の公的証明 | 営業許可証、事業所賃貸借契約書など |
3-2. 補足的な証明のポイント
- 単発の契約書だけでは不十分: 10年間の間に数枚の請負契約書があるだけでは、その間ずっと建設業を継続していた証明にはなりません。継続的な事業の取引実態を示す必要があります。
- 勤務先での経験は別: 確定申告がない期間が「会社の社員として勤務していた期間」である場合、その会社からの在籍証明書と工事経歴書、そして健康保険証の履歴などがあれば、実務経験として認められます。問題となるのは、個人事業主として活動していた期間です。
4. まとめ:確定申告は「未来への保険」です
確定申告をしていない期間の経験を実務経験として認めてもらうことは、行政書士が介入しても非常にハードルが高いのが現実です。書類が揃わないことによる不許可のリスクを避けるため、原則として証明可能な期間のみで要件を満たすことを検討すべきです。
今後のためにできること
現在、建設業許可の取得を目指している方は、今後は必ず「確定申告」と「契約書類の保管」を徹底してください。これは、将来的な事業承継や特定建設業へのステップアップの際の「未来への保険」となります。
当事務所では、お客様が保有している書類を徹底的に精査し、確定申告書がない期間であっても、行政庁に認めてもらうための証明戦略を練ります。
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