機械器具設置工事業|最も取得が難しいと言われる理由
1. 機械器具設置工事業とは?その特殊な工事範囲
機械器具設置工事業とは、プラント設備、工場生産設備、立体駐車場、エレベーター、ダムのゲート、トンネルの換気設備など、機械器具の組立、設置を行う工事を指します。
この業種が特殊なのは、単なる「設置」ではなく、他の専門工事との境界線が極めて曖昧になりやすい点です。
他の業種との厳密な境界線
- 管工事業との違い:
- 管工事: 冷暖房や給排水など、建物内の機能を確保するための設備(管)の設置。
- 機械設置: 産業機械や生産設備、立体駐車場など、機械そのものの設置・組立。
- 電気工事業との違い:
- 電気工事: 機械を動かすための電源(配線、配電盤)の設置。
- 機械設置: 機械本体の設置・組立。
- 重要: 建設業法では、「設備本体の設置・組立」が機械器具設置工事業、その機械を動かすための「付帯工事」(基礎、電気配線、配管など)は、それぞれの専門工事の許可が必要とされます。
2. 「最も取得が難しい」と言われる2つの理由
機械器具設置工事業の許可は、特に中小企業にとってハードルが高いとされています。その理由は、主に「専任技術者の要件」と「実務経験の証明」の複雑さにあります。
理由①:専任技術者になれる資格が限定的
この業種に対応する国家資格が、他の業種に比べて非常に限定的であるため、資格ルートでのクリアが難しいのです。
- 主な対応資格:
- 技術士(機械)
- 注意: 「管工事施工管理技士」や「建築施工管理技士」では、実務経験なしで機械器具設置工事業の専任技術者にはなれません。その結果、資格ルートではなく、「実務経験」での証明を強いられるケースが多くなります。
理由②:実務経験の証明が極めて難しい
資格がない場合、他の業種と同様に10年以上の実務経験が必要です。しかし、「機械器具設置工事業」の実務経験の定義が厳しく、証明が困難です。
- 実務経験として認められる範囲:
- 機械の据付、組立、解体など、機械器具本体の施工技術に関する経験に限られます。
- 認められにくい経験の例:
- 単なる運搬・荷役。
- 基礎工事、足場組立、簡単な配管・配線など、機械器具設置工事の「付帯工事」と見なされる作業。
行政庁は、提出された契約書や請求書から、その工事が「機械本体の組立・設置」の対価であったかを厳しくチェックするため、単に「プラント工事全体を請け負った」という証明だけでは不十分とされます。
3. 機械器具設置工事業の許可をクリアするための戦略
戦略①:技術士の確保または育成
特定建設業まで見据える場合、技術士(機械)の保有者を社内に確保することが最も確実です。
戦略②:他業種からの「振り替え」を理解する
取得したい工事内容が、本当に「機械器具設置工事」なのか、それとも「管工事」や「電気工事」に該当しないかを再検討することが重要です。
- 例: 建物に組み込まれた換気ダクトや空調設備の設置は、一般的に管工事業に分類されます。
戦略③:施工図面と作業指示書による証明
実務経験で証明する場合、過去10年間の工事について、以下の書類を用意し、「機械本体の組立・調整」に直接携わったことを証明する必要があります。
- 工事請負契約書: 工事名称に「〇〇機械設置工事」などと明記されていること。
- 施工図面: 自身が技術者として機械の配置や組立に関与したことがわかる図面。
- 作業報告書・日報: 現場で行った作業が「据付」「芯出し」「組立」など、機械設置特有の作業であったことを詳細に記録したもの。
4. まとめ:複雑な工事範囲と要件を持つ許可
機械器具設置工事業の許可は、試験の難易度の高さから、資格ルートでのクリアが難しく、実務経験の証明も専門的知識を要するため、「最も取得が難しい」と言われています。
しかし、この許可を取得することで、インフラ整備や大規模プラントなど、競争の少ない分野での受注が可能になります。
当事務所では、お客様が現在行っている機械設置・プラント関連の工事内容を詳細に分析し、行政庁の審査基準に合致する「実務経験証明書」の作成と、許可取得までの複雑な手続きを一貫してサポートいたします。
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