名義貸しの禁止|どこからが違法になるのか?

建設業許可において、重いペナルティの対象となり、かつ行政が厳しく監視しているのが「名義貸し」です。
「知り合いの有資格者の名前を借りて申請する」「形だけ役員になってもらう」といった行為は、たとえ悪気がなくても建設業法違反(刑事罰の対象)となります。どこからが違法になるのか、その境界線を行政書士が解説します。
1. 建設業法における「名義貸し」の定義
建設業法における名義貸しとは、「許可の要件(経管や専技)を満たしていない者が、他人の名義を借りて、あたかも要件を満たしているかのように装って許可を受ける行為」を指します。
これは、建設業法47条で禁止されています。
建設業法第47条5
虚偽又は不正の事実に基づいて第三条第一項の許可(同条第三項の許可の更新を含む。)又は第十七条の二第一項から第三項まで若しくは第十七条の三第一項の認可を受けたとき。
2. どこからが違法?「名義貸し」と「正当な雇用」の境界線
「名前を借りているだけ」か「正当に雇用しているか」の境界線は、「常勤性(じょうきんせい)」と「専任性(せんにんせい)」の実態があるかどうかで決まります。
違法(名義貸し)となる典型的なケース
| 項目 | 名義貸しと判断される実態 |
| 勤務実態 | 週に1〜2回しか出勤しない、あるいは全く営業所にいない。 |
| 給与の性格 | 労働の対価(給与)ではなく、「名義使用料」として定額を支払っている。 |
| 他社との関係 | その人物が他社でフルタイム勤務をしていたり、他社の専任技術者になっていたりする。 |
| 居住地 | 営業所から通勤不可能なほど遠方に住んでおり、近隣に宿泊施設等の実態もない。 |
| 指揮命令 | 自社の代表者がその人物に対して、技術的な指導や監督を行う権利を持っていない。 |
3. よくある「勘違い」とリスクの高いパターン
「これくらいなら大丈夫だろう」という油断が、取り返しのつかない事態を招きます。
パターンA:引退した先代や知人の名前を借りる
「資格を持っている親戚に、名前だけ役員(または技術者)として登録させてもらう」ケースです。その親戚が別の仕事をしていたり、高齢で現場管理ができなかったりする場合、名義貸しとみなされます。
パターンB:別会社の社員を「形だけ」籍を置かせる
「協力会社の社員を、許可申請の時だけ自社の社員として登録する」ケースです。社会保険の二重加入や給与の支払い実態から、すぐに行政に発覚します。
パターンC:コンサルタントや外部顧問の名前を使う
「週に数回アドバイスに来る顧問」は、専任技術者にはなれません。専任技術者は「その営業所に常勤し、専らその業務に従事する」必要があるからです。
4. 名義貸しが発覚した時の「凄まじい代償」
名義貸しは「うっかり」では済まされない重罪です。発覚した場合、以下のペナルティがセットで科されます。
- 許可の取り消し: 判明した時点で即座に許可が剥奪されます。
- 5年間の欠格期間: 取り消しから5年間は、本人も会社も再申請ができません。
- 刑事罰: 3年以下の懲役、または300万円以下の罰金(併科あり)が科される可能性があります。
- 公表: 行政処分として社名が公表され、業界内での信用は完全に失墜します。
5. まとめ:正攻法で「ヒト」を確保することが唯一の道
名義貸しに手を染めてしまう背景には、「急ぎで許可が欲しい」「有資格者が見つからない」といった切実な事情があることが多いです。しかし、一度の不正で、それまで築き上げた事業のすべてを失うリスクがあります。
- 対策: 自社の社員に資格を取得させる。
- 正当な労働契約に基づき、フルタイムで勤務できる技術者を正社員として採用する。
- 派遣社員は不可ですが、「直接雇用の出向社員」であれば認められる可能性がある。
当事務所では、法令遵守(コンプライアンス)に基づき、現在の人員構成が「名義貸し」に該当しないか、法的に安全な形での許可取得方法をアドバイスいたします。
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