清掃業務やメンテナンスは建設工事に含まれるか?

建設業許可は、「建設工事」を請け負う場合に必要となるものです。しかし、日常的な建物の「維持管理」や「清掃」「点検」といった業務は、建設工事に含まれるのでしょうか。
結論として、これらの業務は原則として建設工事には含まれませんが、例外的に許可が必要となる境界線が存在します。

1. 原則:清掃・メンテナンスは「建設工事」ではない

建設業法における「建設工事」とは、土木建築に関する工作物の建設、改造、または除去を指します。
一方、建物や設備の「維持管理」を目的とした以下の業務は、原則として建設業法の適用外となり、建設業許可は不要です。

業務の種類具体的な作業例建設工事に含まれない理由
清掃業務定期的な建物内外の清掃、窓ふき、ワックスがけ物理的な工作物の「建設・改造」に該当しないため。
機器の点検ボイラー、エレベーターなどの動作確認、目視点検設備の現状維持が目的であり、新たな設置や大規模な修理ではないため。
軽微な維持管理樹木の剪定・草刈り、劣化した部品の単純な交換独立した工事ではなく、工作物の機能を保つための軽微な行為と見なされるため。

2. 【要注意】清掃・メンテナンスが「建設工事」になる境界線

維持管理やメンテナンス業務であっても、その作業内容が工作物の主要な構成要素に手を加えたり、物理的な改造・修理を伴ったりする場合は、建設工事と見なされ、許可が必要となります。

境界線①:設備の「設置・改修」を伴う場合

  • 例:清掃・点検から「管工事業」へ
    • 単なる点検: 設備点検は建設工事ではない。
    • 大規模な修理・交換: ボイラー本体、大規模な配管、空調室外機など、設備の主要部分を撤去・交換・設置する工事は、管工事業機械器具設置工事業などの建設工事となる。
    • この場合、請負金額が500万円以上であれば許可が必要です。

境界線②:工作物の「機能回復・向上」が目的となる場合

  • 例:清掃・管理から「造園工事業」へ
    • 単なる草刈り: 日常の維持管理であり、建設工事ではない。
    • 大規模な植栽・移植: 庭園や公園の景観を回復・向上させるために、大規模な植栽や景石の設置を行う工事は、造園工事業となる。
    • この場合、請負金額が500万円以上であれば許可が必要です。

境界線③:建物の「構造・防水」に関わる場合

  • 例:点検から「防水工事業」へ
    • 単なる清掃: 屋上やベランダの清掃は建設工事ではない。
    • 防水層の張替え・塗り替え: 屋根や外壁の防水層を剥がし、新たな防水材で躯体を保護するための工事は、防水工事業または塗装工事業となる。
    • この場合、請負金額が500万円以上であれば許可が必要です。

3. まとめ:業務の「目的」と「規模」で判断する

清掃・メンテナンス業務が建設工事に含まれるかどうかは、作業の「目的」と「規模」によって判断されます。

目的規模建設工事かどうか許可の必要性
維持管理・現状維持軽微な作業(清掃、点検、消耗品交換)建設工事ではない不要
機能回復・改造大規模な設備交換、主要部材の修理・設置建設工事である500万円以上で必要

維持管理業務を請け負う会社であっても、実態として500万円以上のリフォームや設備交換工事も行っている場合は、必ず該当する建設業許可を取得しなければ、無許可営業のリスクを負うことになります。

「建設業のページを見た」とお伝えください。ご相談は無料です。070-8490-7268受付時間 8:00-20:00 [ 土日祝日も対応 ]

お問い合わせ LINEや問い合わせフォームは24時間受付中です。

この記事を書いた人

行政書士古川俊輔
行政書士古川俊輔
建設業許可専門の行政書士
埼玉県で地域密着対応
平成生まれの若さを活かしたフットワークの軽さが強み
迅速・丁寧・確実な許認可サポート