社会保険加入は必須要件!未加入時の対処法と流れ
2020年(令和2年)の建設業法改正により、建設業許可の申請・更新において、社会保険(健康保険、厚生年金保険)および労働保険(雇用保険)の加入が、「許可の要件」として明確に位置づけられました。
これは、建設業全体で働く人の待遇を改善し、社会保険の加入を徹底するための国策です。
現在、社会保険に未加入、または加入義務があるにもかかわらず手続きを行っていない事業者様は、建設業許可の取得や更新ができません。
この記事では、社会保険加入の重要性と、未加入の場合の具体的な対処法、そしてスムーズな手続きの流れを解説します。
1. 社会保険加入が建設業許可の必須要件である理由
建設業法では、許可の要件として「適正な社会保険の加入」を定めています。これは、建設業者に以下の2点を義務付けているためです。
① 法令遵守(コンプライアンス)の証明
社会保険の加入は、法人の場合や一定規模以上の個人事業所の場合、法律で定められた義務です。この義務を果たしていない場合、「誠実性」の要件を欠くと判断され、許可は取得できません。
② 雇用環境の整備
建設業で働く労働者の医療や年金、失業時のセーフティネットを確保することは、企業側の責務です。未加入のままでは、行政庁は企業がその責務を果たしていないと判断します。
| 必須となる保険 | 種類 | 加入対象(原則) |
| 社会保険 | 健康保険・厚生年金保険 | 法人、または従業員5人以上の個人事業所 |
| 労働保険 | 雇用保険・労災保険 | 従業員を1人でも雇用する場合 |
2. 未加入時の具体的な対処法と手続きの流れ
現在、社会保険に加入義務があるにもかかわらず未加入の場合、以下の手順で速やかに手続きを進める必要があります。
Step 1: 加入義務の確認
まず、貴社が社会保険・労働保険の加入義務の対象であるかを確認します。
- 法人(株式会社、合同会社など): 役員1人だけでも、社会保険は強制加入です。
- 個人事業所: 常時5人以上の従業員を雇用している場合、社会保険は原則として強制加入です(一部業種を除く)。
Step 2: 社会保険への新規加入手続き
加入義務が確認されたら、年金事務所(健康保険・厚生年金保険)およびハローワーク・労働基準監督署(労働保険)にて、新規加入手続きを行います。
| 保険の種類 | 届出先 | 主な必要書類(抜粋) |
| 健康保険・厚生年金 | 年金事務所 | 新規適用届、被保険者資格取得届 |
| 雇用保険 | ハローワーク | 雇用保険適用事業所設置届、被保険者資格取得届 |
| 労災保険 | 労働基準監督署 | 保険関係成立届 |
Step 3: 建設業許可申請書類への記載と添付
社会保険の加入手続きが完了したら、建設業許可の申請書類に以下の情報を正確に記載し、証明書類を添付します。
- 申請書(様式):加入している保険の名称、適用年月日、保険整理番号などを正確に記載します。
- 裏付け資料(添付書類):
- 健康保険・厚生年金:健康保険の領収証または納入証明書の写し、保険料納付額証明書など。
- 雇用保険:労働保険概算・確定保険料申告書の写し、領収証など。
ポイント: 建設業許可の審査では、単に「加入手続き中です」という証明ではなく、実際に保険料を納付していることや、手続きが完了していることが求められます。
3. 未加入時の「遡及適用」と費用負担の注意点
未加入のまま行政庁の調査などで発覚した場合、以下の点で大きなリスクを伴います。
過去に遡っての適用
加入義務があったにもかかわらず未加入だった場合、過去に遡って、保険料の納付が命じられます。
- 負担の増加: 本来の保険料に加え、延滞金が課される可能性もあります。
- 手続きの複雑化: 過去の賃金台帳や就業実態を行政庁に証明する必要があり、手続きが非常に複雑になります。
役員報酬も保険料の対象
法人の場合、代表者や役員の報酬も社会保険の算定基礎となります。未加入期間が長いほど、役員分の遡及負担額も高額になります。
4. 許可取得・維持のために、早めの専門家への相談を
社会保険の新規加入手続きは、専門的な知識と多くの書類作成が必要となるため、不慣れな方が自力で行うと、本業を圧迫し、許可申請が遅れる原因となります。
特に、遡及適用が必要なケースや、個人事業から法人成りしたばかりのケースでは、行政庁との交渉や正しい手続きの判断が非常に困難です。
当事務所では、社会保険労務士などの専門家と連携し、建設業許可申請に必要な社会保険加入手続きをトータルでサポートいたします。
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