書類が一切ない!通帳の入金記録で実務経験を証明できるか?

「契約書も請求書も、過去のものはすべて捨ててしまった…」というケースは、実は一人親方や小規模な事業者様には珍しくありません。
実務経験を証明する最後の砦としての「通帳の入金記録」について、その有効性と限界、そして「書類ゼロ」から許可を目指すためのリアルな対策を解説します。
1. 結論:通帳だけでは「不十分」とされるのが一般的です
残念ながら、通帳の入金記録(振込履歴)だけでは、実務経験の証明として認められないケースがほとんどです。
その理由は、建設業許可の審査において「いつ、誰から、いくら入ったか」よりも、「それが何の工事(業種)の代金だったのか」という中身が重視されるからです。
通帳だけでは証明できないこと
- 工事の内容(業種): その入金が「塗装」なのか「内装」なのか、あるいは「ただの物販」や「貸した金の返済」なのかが判別できません。
- 工事の期間: 単発の入金記録では、その期間ずっと建設業を営んでいた「継続性」を証明できません。
2. ただし「セット」で出すなら強力な武器になる
通帳単体では不十分ですが、他の「断片的な書類」と組み合わせることで、実務経験として認められる可能性が出てきます。
「セット証明」の考え方
多くの自治体では、以下の3点セットを揃えることで「1件の工事実績」として認めてくれます。
- 確定申告書(控): その年に「建設業」で収入があった公的な証明。
- 通帳の入金記録: 実際にお金が動いたという「事実」の証明。
- 請求書の控え(または注文書): そのお金が「何の工事」の対価であるかの証明。
「請求書もない!」という場合: 都道府県によっては、請求書がない場合でも「工事台帳」や「売上台帳」、あるいは当時の「現場写真」や「図面」を通帳の記録と紐づけることで、例外的に認めてくれるケースがあります。
3. 自治体ごとの「ローカルルール」を活用する
建設業許可の審査基準は、実は都道府県によってかなり温度差があります。
- 厳しい自治体: 「原本の契約書がなければ一切認めない」という地域もあります。
- 柔軟な自治体: 「契約書がなくても、確定申告書と通帳のコピーが揃っていれば、実務経験として認める」という地域もあります。
まずは、お住まいの地域の「手引き」を確認するか、専門家に「この自治体ではどこまで緩和されるか」を相談するのが近道です。
4. 書類が全くない場合の「3つの代替案」
どうしても書類が揃わない場合でも、まだ諦める必要はありません。以下のルートを検討しましょう。
① 過去の取引先に「実務経験証明書」を書いてもらう
自社に書類がなくても、当時仕事をくれた元請け会社に「この人は間違いなく、うちの塗装工事をやってくれていました」という証明書にハンコをもらう方法です。これができれば、自社の書類がなくても認められる場合があります。
② 資格取得に切り替える
実務経験を証明するより、「2級施工管理技士」などの国家資格を今から取得するほうが結果的に早い場合があります。資格があれば、過去の10年分の書類はすべて不要になります。
③ 証明できる期間だけで「業種」を絞る
「10年は無理だが、直近の3年分なら通帳と請求書がある」という場合、指定学科の卒業と組み合わせることで、短い期間でも専任技術者になれる可能性があります。
まとめ:通帳は「補助」として使い、パズルを組み立てる
「書類が一切ない」状態から許可を取るのは、プロの行政書士でも非常に難易度の高い仕事です。しかし、通帳、確定申告書、そして元請け会社の協力というピースを組み合わせることで、道が開けることは多々あります。
捨ててしまった書類を嘆くより、今手元にある「お金の動き」をどう技術的な証明に結びつけるかが鍵となります。
当事務所では、バラバラになった過去の記録から「実務経験」を再構成し、役所に認めさせるためのストーリー構築を得意としています。
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