造園工事業の許可|公園管理や植栽工事の実績証明

1. 造園工事業とは?工事の範囲を明確に

造園工事業とは、庭園、公園、緑地などの造園工事全般を行うための許可業種です。

造園工事業に含まれる主な工事

造園工事業の範囲には、植物の植栽だけでなく、庭園を構成する様々な要素の設置が含まれます。

  • 植栽工事: 植樹、地被(芝張りなど)、地盤改良
  • 景観工事: 景石の設置、庭園の築造
  • 整地・造形: 整地工事、園路、広場、花壇などの築造
  • 施設設置: 噴水、休憩所、遊具、屋上緑化などの設置
  • 維持管理(植栽): 樹木や芝生の剪定・手入れ、移植(メインが土木・建築構造物でない場合)

混同しやすい他の許可業種との境界線

工事内容該当する許可業種注意点
土地の造成や大規模な整地土木一式工事またはとび・土工・コンクリート工事業構造物の設置が主体の場合は造園ではない
灌漑(かんがい)設備や給排水の配管管工事業植栽のための散水設備でも、配管工事が主体の場合は管工事
柵や垣根の設置建具工事業(木製など)または鋼構造物工事業(金属製など)造園工事の一環として付帯的に行う場合は造園工事に含まれる

2. 造園工事業の専任技術者(専技)要件

造園工事業の許可を取得するために最も重要な「専任技術者(専技)」の要件は、以下のルートでクリアできます。

ルート①:国家資格(最も確実)

以下の資格のいずれかを持つ技術者が、営業所に常勤していること。

資格区分資格名
施工管理1級・2級造園施工管理技士
技術士建設部門、森林部門
その他職業能力開発促進法による技能検定「造園」

ルート②:指定学科の卒業と実務経験

大学、高専、高校などで「指定学科」(林学、土木工学、建築学、都市工学など)を卒業している場合、実務経験年数が短縮されます。

  • 大学・高専卒業:3年
  • 高校卒業:5年

ルート③:実務経験のみ(資格なしの場合)

資格も指定学科の卒業もない場合、造園工事業に関する10年以上の実務経験が必要です。


3. 【難関】公園管理や植栽工事の実績証明方法

造園業は、請負契約書ではなく、年間契約の管理業務委託契約で仕事を受けるケースも多いため、10年間の実務経験を証明する際に特別な注意が必要です。

3-1. 実績として認められる経験の範囲

専任技術者の実務経験として認められるのは、工事の技術的な施工や指導・監督に関わった経験です。

  • 認められる経験: 植栽計画の立案、樹木・資材の選定、現場での指揮監督、造園工事としての整地作業など。
  • 認められない経験: 単なる草刈り、清掃、事務、営業など、技術的な要素が薄い維持管理業務。

3-2. 公園管理・植栽工事の証明書類戦略

公園管理や街路樹の植栽・剪定業務を実務経験として証明する場合、以下の書類を組み合わせて「技術的な工事」を継続して行っていたことを示します。

必要な証明書類の例目的
業務委託契約書継続的に業務を請け負っていた期間の証明。
月次・年次の業務報告書単なる清掃ではなく、植栽、剪定、病害虫対策など、造園技術を要する業務を行っていたことの証明。
作業指示書・施工記録誰が、どのような技術的判断をもって作業に関わったのかを示す。
写真(施工前・後)植栽や造形物設置など、造園工事の実態があったことを補強する。
確定申告書・入金記録事業の継続性と金銭の授受を裏付ける。
  • ポイント: 特に管理業務の場合、契約書に記載された「植栽管理」「剪定作業」の内容が、技術者としての業務であることがわかるように強調する必要があります。

4. まとめ:専門的な管理こそが「工事の実績」

造園工事業の許可は、技術力と安定した経営を証明し、緑化事業や大規模な公園管理など、公共性の高い業務への参入を可能にします。
実務経験の証明では、単なる事務作業と見なされないよう、「造園技術者」としての専門的な実績を客観的な書類で積み重ねることが成功の鍵です。
当事務所では、公園管理などの特殊な実績であっても、造園工事業の許可要件を満たすための書類作成と証明戦略を構築いたします。

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この記事を書いた人

行政書士古川俊輔
行政書士古川俊輔
建設業許可専門の行政書士
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