個人事業主が建設業許可を取る場合の必要書類と法人化のメリット
現在、個人事業主として建設業を営んでいる方が、事業拡大のために建設業許可の取得を目指すケースは多くあります。
個人事業主の許可申請は、基本的な要件(経管、専技など)は法人と同じですが、「必要書類」と「要件の証明方法」に特有の違いがあります。
この記事では、個人事業主が許可申請をする際の具体的な必要書類と、許可取得を機に法人化(法人成り)することで得られる大きなメリットについて解説します。
1. 個人事業主特有の建設業許可申請で必要な書類
個人事業主として建設業許可を申請する場合、法人申請にはない、個人特有の書類が必要です。
① 経営経験・財産証明に関する書類
| 書類名 | 目的 | 法人との違い・注意点 |
| 確定申告書 | 経管(経営業務の管理責任者)が個人事業主本人であること、および5年以上の経営経験、建設業の実態を証明します。 | 過去5年分の決算書(青色申告決算書、収支内訳書など)が必須です。 |
| 財産的基礎の証明書類 | 500万円以上の資金力を証明します。 | 個人事業主名義の銀行口座の残高証明書(または決算書の純資産の部)が必要です。 |
② 欠格要件に関する書類
| 書類名 | 目的 | 注意点 |
| 身分証明書 | 申請者本人や政令で定める使用人(支店長など)が、禁治産者・準禁治産者でないことを証明します。 | 本籍地の市区町村役場で取得します。 |
| 登記されていないことの証明書 | 申請者本人が、成年被後見人・被保佐人でないことを証明します。 | 法務局で取得します。 |
2. 許可取得を機に「法人化」する3つのメリット
建設業許可を取得するタイミングで、事業の将来を見据えて法人化(法人成り)を行う事業者が非常に多くいます。許可取得後に法人化する場合、「個人許可の廃業届」と「法人での新規申請」、または「許可の承継」が必要になりますが、それでも法人化には大きなメリットがあります。
メリット①:税制上のメリット
事業規模が大きくなり、所得が増加した場合、個人事業主にかかる所得税(累進課税)の税率が、法人にかかる法人税の税率よりも高くなる逆転現象が起きます。
- 所得分散: 役員報酬として所得を分散できるため、総合的な税負担を軽減できる可能性があります。
メリット②:事業承継・信用力の向上
法人化することで、事業の存続性が高まり、対外的な信用力が大幅に向上します。
- 信用力: 元請けや金融機関からの信頼が高まり、大規模な取引や融資が受けやすくなります。
- 事業承継: 株式の移動により、後継者への事業承継がスムーズに行えます。個人事業主は事業主個人の経験に紐づくため、承継が難しい場合があります。
メリット③:資金調達・責任範囲の明確化
- 資金調達: 株式会社などの法人は、増資という形で外部から資金調達を行うことが可能です。
- 有限責任: 倒産などの事態に陥った場合でも、出資した額以上の責任を負うことはありません(有限責任)。個人事業主はすべての責任を負う無限責任です。
3. 法人化後の許可移行も専門家へ
個人事業主として建設業許可を取得した後、法人化する場合、許可を承継をする場合は事前に行政庁と相談をする必要があり、複雑な手続きが必要です。
このとき、個人事業主時代に培った実績や経験を、法人側の要件(経管、専技)としてスムーズに引き継ぐ手続きが必要です。
- 経管の引継ぎ: 個人事業主本人が法人の役員(取締役)になることで、個人時代の経営経験をそのまま引き継ぐことができます。
当事務所では、建設業許可の取得支援に加えて、税理士や司法書士と連携し、法人設立(法人成り)から法人名義での建設業許可の承継までを一貫してサポートいたします。
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