【様式別解説】建設業許可申請で間違いやすい書類の書き方トップ5
建設業許可申請には、数十種類にも及ぶ膨大な様式を提出する必要があります。これらの書類は、行政庁のチェック項目が非常に厳しく、わずかな記入ミスや添付書類の不備で審査がストップし、「差し戻し」となるケースが後を絶ちません。
ここでは、経験豊富な行政書士が、特に多くの申請者が間違えやすい様式トップ5について、その注意点と失敗しないための書き方を具体的に解説します。
間違いやすい様式トップ5
1. 役員等の一覧表(様式第1号別紙2(1)など)
失敗ポイント:「政令で定める使用人」の記載漏れ
この様式では、代表取締役や監査役といった登記上の役員だけでなく、「建設業法施行令第3条に規定する使用人」(支店長、営業所長など、契約締結権を持つ使用人)もすべて漏れなく記載する必要があります。
| 失敗しないための注意点 |
| 記載対象の確認: 登記簿謄本に載っている役員全員と、各営業所の長(支店長、所長など)を漏れなくリストアップしましょう。 |
| 兼任の明確化: 経管や専技を兼ねている場合は、その旨も正確に記載します。 |
2. 経営業務の管理責任者証明書(様式第7号)
失敗ポイント:経営経験の「客観的な証明」の欠落
経管の経験年数を記載するこの様式は、証明書そのものの記載よりも、添付する裏付け書類に不備があることで差し戻しになるケースがほとんどです。
| 失敗しないための注意点 |
| 経験内容の具体的記載: 経験を積んだ期間ごとに、「経営業務の管理責任者としての具体的な役割」(例:取締役として財務管理・契約締結に関与)を具体的に記載し、単なる現場管理ではないことを示しましょう。 |
| 裏付け書類の整合性: 証明期間と、添付する登記簿謄本(役員履歴)や確定申告書の期間が一字一句違わないように確認します。 |
| 建設業の実績証明: 経験期間を通じて建設業を行っていたことを示す契約書、注文書、請求書などの裏付け資料を、行政庁の指導に従い提出します。 |
3. 専任技術者証明書(様式第11号)
失敗ポイント:資格と実務経験の「業種」の不一致
専任技術者の資格または実務経験を証明する様式です。申請する「業種」と「資格・経験」がズレていると、すぐに差し戻しとなります。
| 失敗しないための注意点 |
| 業種と資格の確認: 申請する業種(例:管工事)に対し、保有資格(例:2級管工事施工管理技士)が対応しているかを確認します。 |
| 実務経験の具体的記載: 実務経験で証明する場合、工事内容を「どの建設業種の実務経験か」が分かるよう具体的に記載します。(例:「内装仕上工事の壁紙施工」) |
| 常勤性の証明: 専技が「常勤」であることを裏付けるため、健康保険証や雇用契約書などの添付書類を漏れなく準備します。 |
4. 誓約書(様式第6号)
失敗ポイント:誓約者の範囲と捺印の漏れ
申請者(法人または個人)が、欠格要件に該当しないことを誓約する重要な書類です。形式的な不備で差し戻しが多い様式です。
| 失敗しないための注意点 |
| 誓約者の範囲: 誓約者は、申請者本人(代表取締役)だけでなく、すべての役員(監査役等含む)、政令で定める使用人(支店長など)、専任技術者も含む必要があります。 |
| 正確な氏名と押印: 記載する氏名、住所、生年月日が公的書類(住民票など)と完全に一致しているか確認し、署名・捺印(または記名・押印)を忘れないようにしましょう。 |
5. 建設業法別表(様式第1号別紙3)
失敗ポイント:財産的基礎の要件と記載内容の不整合
申請する業種と、その業種の専任技術者・経管を対応させる一覧表ですが、特に財産的基礎の証明方法について間違いが発生しやすいです。
| 失敗しないための注意点 |
| 証明方法の明確化: 財産的基礎の欄で、「自己資本500万円以上」で証明するのか、「残高証明書(資金調達能力)」で証明するのかを記載します。 |
| 残高証明日の明記: 残高証明書で証明する場合、証明書の発行日(基準日)を正確に記載します。この日付と提出する残高証明書の日付が一致していなければなりません。 |
専門家に行政書士に依頼する最大のメリット
これらの様式は、各都道府県や年度によって、ローカルルールや運用方法が細かく異なることがあります。
「自分で完璧にやったつもりでも、行政庁独自の解釈で不備を指摘される」ことは日常茶飯事です。
建設業専門の行政書士に依頼することで、以下のメリットが得られます。
- 事前チェックの徹底: 申請書作成前にすべての様式と添付書類を厳しくチェックし、差し戻しのリスクをゼロに近づけます。
- 行政庁との調整: 経験の証明が難しいケースでは、事前に行政庁と交渉・調整を行い、認められる書類の形を探ります。
- 時間と労力の節約: 経営者様は本業に集中でき、最短期間での許可取得が可能になります。
建設業許可申請は、「どれだけ完璧な書類を提出できるか」が鍵です。些細なミスで貴重な時間と法定費用を無駄にしないために、ぜひ一度ご相談ください。
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