経審を受けない方がいいケースとは?デメリットも包み隠さず解説

「公共工事に参入したいなら、とにかく経審(経営事項審査)を受けるべきだ」
多くのWebサイトや行政書士の解説では、経審を受けるメリットばかりが強調されがちです。
確かに、経審は公共工事を受注するための「必須のパスポート」であり、事業拡大のための強力なツールです。
しかし、すべての建設業者様にとって「今すぐ経審を受けること」が正解とは限りません。
会社の状況や将来の方向性によっては、経審を受けることが大きなコスト負担になったり、逆にリスクとなったりケースも存在するのです。
今回は、建設業専門の行政書士の立場から、経審を受けることで生じる「デメリット」と、あえて「経審を受けない方がいい(後回しにすべき)ケース」を包み隠さず解説します。
1. 経審を受けることで生じる「4つのデメリット・リスク」
経審を受ける前に、まずはどのような負担やデメリットが発生するのかを正確に把握しておきましょう。
① 毎年必ず「費用(コスト)」が発生する
経審の有効期限は「1年7ヶ月」ですが、途切れなく公共工事の入札に参加し続けるためには、毎年必ず更新手続きを行う必要があります。
申請のたびに「法定手数料(数万円)」がかかるほか、行政書士に依頼する場合は「代行報酬(10万円〜20万円前後)」が毎年固定費として発生します。
② 書類準備や管理の「事務負担」が非常に重い
経審の申請には、決算書だけでなく、工事ごとの契約書・注文書、技術者の資格証や常勤証明書、社会保険の領収書など、数十種類におよぶ膨大な書類の準備が必要です。
社内に専任の事務員がいない場合、現場に出て施工管理を行っている社長ご自身や現場監督が夜遅くまで書類作成に追われることになり、本業を圧迫するリスクがあります。
③ 会社の「財務状況や点数」が誰でも見られる状態になる
経審を受けると、その結果である「総合評定値(P点)」だけでなく、完成工事高(売上)や財務状態などの審査データが、財団法人建設業情報管理センター(CIIC)のウェブサイト等で一般に公表されます。
誰でも閲覧可能になるため、ライバル会社や取引先、銀行等に自社の詳しい経営規模や財務データが知られてしまうという側面があります。
④ 経審を受けるだけでは「1円の売上」にもならない
「経審を受ければ自動的に公共工事がもらえる」と誤解されている方がいらっしゃいますが、経審はあくまで入札に参加するための「資格(評価)」を得る手続きに過ぎません。
経審を受けた後に「入札参加資格審査(指名願い)」を行い、さらに実際の入札で案件を落札して初めて売上になります。
営業活動や入札作業の手間をかけなければ、経審にかかった費用がそのまま「掛け捨て」になってしまいます。
2. 経審を「受けない方がいい(後回しにすべき)」4つのケース
では、具体的にどのような会社であれば「今は経審を受けない」という判断をすべきなのでしょうか?
ケース1:民間工事だけで手いっぱいで、今後も公共工事をやらない
「地元のハウスメーカーや施主からの民間工事でスケジュールが数ヶ月先まで埋まっている」
「下請けとして安定した受注があり、自社で公共工事の施工管理をする余裕がない」
という場合、わざわざコストと労力をかけて経審を受ける必要はありません。
ケース2:直近の決算が「大幅な赤字」である
経審の点数のうち、財務面を表す「Y点」は決算書の内容でダイレクトに決まります。
大幅な赤字を出してしまった期に経審を受けると、Y点が著しく下がり、結果として低いP点(総合評定値)しかつきません。
低い点数のまま入札参加資格をとっても、狙った規模の公共工事に応札できない可能性が高いため、「まずは本業の利益を戻し、財務状況を立て直してから受ける」のが賢明な判断です。
ケース3:公共工事に配置できる「技術者(現場代理人・主任技術者)」がいない
公共工事を受注した場合、現場に一定の資格や実務経験を持った技術者を配置しなければなりません。
技術者の人数に余裕がなく、既存の民間現場で全員出払っているような状態であれば、経審を受けて入札権を得たとしても、実際に工事を引き受けることができません。
ケース4:設立直後や業種追加直後で「完成工事高(売上)がほぼゼロ」である
経審では「完成工事高(売上高)」が非常に大きな加点要素(X1点)になります。
実績がほぼゼロの状態で経審を受けても、点数は非常に低くなってしまいます。
新設法人の場合は、まず下請けや民間工事で数年分の施工実績(完成工事高)を積み上げてから経審に挑戦した方が、はるかに高いランクで公共参入を果たすことができます。
3. まとめ:大切なのは「自社にとっての費用対効果」を見極めること
経営事項審査(経審)は、受ければ必ず会社が儲かるという「魔法のカード」ではありません。
会社の現在の財務状況、技術者の体制、そして将来的にどのような工事を引き受けていきたいかという「経営戦略」に合致して初めて、絶大な効果を発揮するものです。
だからこそ、「周りが受けているから」「なんとなく勧められたから」という理由で安易に申請を始めるのはおすすめできません。
- 「うちの今の会社規模で、経審を受ける価値(メリット)はある?」
- 「今の決算内容で受けた場合、どれくらいの点数が出る?」
- 「まずは民間工事で実績を作るべきか、すぐに経審を受けるべきか迷っている」
当事務所では、ただ機械的に手続きを代行するのではなく、事前に「経審を受けるべきかどうかの診断(費用対効果の検証)」と「点数シミュレーション」を行っています。
「診断の結果、今回はまだ受けない方がいい」という結論になれば、その理由と今後の改善策を誠実にお伝えいたします。
自社の判断に迷われた経営者様は、ぜひ一度、当事務所の無料相談をご活用ください。
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建設業許可に強い行政書士
埼玉県行政書士会所属
行政書士登録番号 第25134491号
適格請求書発行事業者(インボイス)登録番号 T4810289874563
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